炭酸水素ナトリウム(ニュー トリション自由自在 第11回)
疲労物質としての乳酸
運動の疲労には、中枢性疲労と末端性疲労がある。中枢性疲労は、脳が疲労することであり、脳のエネルギー源(ブドウ糖)の枯渇と疲労物質(セロトニン)の蓄積がある。最近、後者の蓄積を抑制するには、BCAA(分岐鎖アミノ酸)の摂取が有効であることが解明されつつある。
一方、末端性疲労には筋肉の疲労、肝臓の疲労など種々あるが、このうち筋肉の疲労には、エネルギー源(筋グリコーゲン)の枯渇、筋線維の分解、疲労物質の蓄積が知られている。
そして、疲労物質として最も有名なのが、乳酸である。乳酸は、筋グリコーゲンを無酸素的に代謝した時の最終産物であり、水素イオンを発生して筋内pHを酸性に傾かせ、結果的に各種酵素の働きは阻害され、筋運動は停止を余儀なくされる。
このような乳酸性無酸素エネルギー発揮は、運動持続時間として10秒?2分間くらいの最大運動であり、陸上競技では100m走から800m走に相当する。中でも400m走、400mハードル、800mに最も高い乳酸生成が見られ、レース終了後の選手は非常に辛そうである。
また、各種球技のラリーやダッシュ、格闘技での連続した攻撃。防御においても乳酸生成は高まる。この乳酸を蓄積させず、無酸素運動をより長く、より高い強度で、さらには反復して行うことができれば、記録競技のタイムは伸びるし、球技や格闘技のスタミナも向上すると推測される。