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スポーツ栄養から食糧問題まで(立教ジャーナル2012)

立教ジャーナル2012スポーツ栄養学

私は本年の3月31日まで食品メーカーに23年間勤務していました。そこで行ってきた仕事は、スポーツ食品・スポーツドリンクの開発と、アスリートに栄養指導を施しながら開発した商品を使ってもらい、競技力を高めてもらうということでした。

静岡大学理学部の生物学科、そして修士課程を修了して入社した時は研究職でした。しかし、3年目に本社営業部に転勤となり、そこでスポーツ食品(ブランド名『ザバス』)の営業企画担当になって人生が大きく変わったのです。最初はどうやって売ればいいのか悩み、夏のインターハイ会場で高校の陸上部の監督に声をかけ、商品の説明をしました。そのうちに、知り合った監督から「チームに来て商品説明と栄養学の講義をしてくれないか」という依頼があり、『勝つための栄養学』と題したセミナーを始めました。アスリートは練習量が多いので、栄養の必要量も高いレベルにあるのですが、栄養の大切さを認識していないし、練習で疲れて清涼飲料をガブ飲みしたり、好き嫌いも少なくなかったり、実際の栄養摂取量は必要量からかけ離れたレベルである場合が多いのです。セミナーを実施すると、そのチームは意識が変わり、きちんと食事をするようになりますし、スポーツ食品やスポーツドリンクをタイミング良く適量摂取するようになります。意識の無いチームと比べれば、体力・体調面には歴然とした差が生じます。やがて、セミナーや商品のことが口コミで広がり、高校野球や高校ラグビーからも声がかかるようになり、数年後には、オリンピック選手やプロチームからも指導依頼が来るようになりました。

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