ジュニア選手とサプリメント(ニュー トリション自由自在 第17回)
素質のある子ほど、つぶれる?
数年前、バレーボール選手について、中学、高校、大学、日本代表の各世代のトップ選手を対象に、食生活と体調についての調査を行なった。
その結果、男女ともに、高校選手で「膝や腰に痛みがある」、「疲れがとれない」、「イライラする」といった問題を抱えていて、その傾向は、すでに中学選手から認められることがわかった。
共同研究者である杏林大学病院整形外科の林光俊先生とディスカッションしたところ、(1)遺伝的に素質の優れた選手が中学で発掘され、高校に進み猛練習にさらされる(2)入学、全日本になると中学・高校のときからトップだった選手がほとんどいない(3)つまり、遺伝的に優れた選手は高校くらいで猛練習につぶされているのではないか、という仮説が立てられた。
そして、その原因として、練習量に見合った栄養摂取ができていないということもわかった。調査から明らかになった選手の姿は、栄養の知識に乏しく、練習で疲れて食欲が落ちると、夕食も食べずに寝てしまうというものである。
これでは、消耗した身体を回復させることはできず、強い筋肉を発達させたり、骨格を頑丈にすることはできない。
この研究成果は、大きな反響を呼び、「臨床スポーツ医学第15巻 第8号908‐915ページ」をはじめ、平成19年体協報告やバレーボール協会の機関紙にも掲載された。